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古い宝くじの説明に、昭和20年7月と書いてある。
あれ、終戦前? でも、別の資料には昭和20年10月が最初ってあるよ……。
ここ、引っかかるよね。どちらかが間違い、と決める前に、券の名前を見てみよう。7月は戦時中の「勝札」。10月は戦後の「政府第1回宝籤」です。同じ昭和20年でも、その間に終戦を挟んでいるんだ。
しかも、戦後の宝くじには賞金に布がつき、はずれ券をたばこに交換する仕組みまであった。今の売り場をそのまま昔に置くと、見えなくなるところがあるよ。
今回は、宝くじ公式の沿革と、博物館・図書館の資料で、昭和20年前後の違いを追っていきます。もう少し人や販売の事情を読みたい人向けには、大山真人著『宝くじ戦争』も紹介するね。本の本文を読んだ感想ではなく、昭和館で公開されている書誌と目次から、どんな疑問を持って読むかを案内します。
昭和20年の7月と10月。「最初」の前に券の名前を見よう
まずは三つだけ並べてみて。
昭和20年7月に勝札が発売され、8月25日にその抽せん。10月には政府第1回宝籤が発売される。この順番です。宝くじ公式サイトの歴史の説明で確認できます。
7月の券も、10月の券も、単に「昭和20年の宝くじ」と縮めてしまうと、違いが消える。そこで発売年月、券の正式な名称、発売と抽せんのどちらの日付かを、ひと組にして読むと迷いにくいよ。
たとえば、古い券の紹介に「昭和20年7月」とあるなら、それを10月の政府第1回宝籤の説明へ、そのまま貼りつけない。年が同じだから、と写真や解説を一緒にすると、肝心の時期がずれてしまうんだ。
東京都江戸東京博物館のデジタルアーカイブには、第一回の勝札が登録されています。資料番号は95000933。年代欄は昭和20年7月で、発行所は株式会社日本勧業銀行。資料の大きさも、4.9cm×10.6cmと記されています。
おお、年表の一行が、実際に残された一枚につながった! こうやって見ると、歴史の入口がぐっと具体的になるよね。なお、ここで確認したのは資料の登録情報。券の細かな印字をすべて解読したり、現物を手に取ったりしたわけではありません。
公式の沿革によると、政府が勝札を発売した目的には、浮動購買力を吸収し、軍事費を調達することがありました。1枚10円で、1等10万円という設定です。
浮動購買力という言葉、急に難しく聞こえるね。ここでは、買い物などへ向かい得るお金をくじの購入に向けてもらう、と大づかみに捉えれば、次の変化を追いやすくなる。発売の目的は賞金の大きさだけでは説明できない、ということなんだ。
勝札は、抽せんの前に終戦を迎えました。公式サイトは、そのため逆の意味を帯びた呼び名でも呼ばれたと説明しています。名前の響きだけを面白がるより、発売時と抽せん時で状況が変わったことを押さえたいところです。
この経緯を、関わった人や販売をめぐる動きから読みたいなら『宝くじ戦争』が候補になります。昭和館の公開目次では、勝札の成立と発売を扱う章が並んでいます。最初から現在の購入術を期待する本ではなく、戦中・戦後の移り変わりをたどるために選ぶと、読む目的がはっきりするよ。
戦後の宝くじには布も。賞金だけを見ると抜け落ちること
同じ年の10月、名前を宝くじに変えて、政府第1回宝籤が発売されます。公式の歴史案内は、戦後の激しいインフレを防ぐため、お金を吸収する必要が大きくなったことを説明しています。
戦時中の軍事費調達と、戦後のインフレへの対応。券の名前が変わっただけ、と流してしまうには、背景がずいぶん違うんだね。
では、賞品の方はどうだったのか。昭和20年からの公式年表には、10月の宝籤は1枚10円、1等10万円に純綿のカナキン50ヤールがついた、とあります。さらに、はずれ券4枚でたばこ10本を受け取る仕組みも記載されています。
布までつくの!?
今の賞金一覧を思い浮かべていると、ここは意外じゃない? カナキンは布のこと。公式年表は、物資が不足した時期の、物を必要とする切実な状況と結びつけて説明しています。高額の数字を見せるだけではなく、何が手に入るのかにも意味があったんだ。
ただし、この4枚という数字を、昔の宝くじ全部の交換条件にしないでね。別の回には、違う仕組みが登場します。
過去の図柄の解説にある昭和21年5月の政府第4回宝籤は、2枚つづりのシートくじ。券にはたばこ引換券が印刷され、こちらの説明は6枚で10本になっています。
4枚だったっけ、6枚だったっけ、と記憶が混ざりそうなら、「20年10月・政府第1回」「21年5月・政府第4回」を先に書いて、その下に条件を置いてみよう。数字を覚え直すより、券の回を分ける方がすっきりするよ。
古い券を調べるときは、金額、物の賞品、交換に使う券、交換条件を別々に見るのがおすすめ。1等の賞品と、はずれ券を集める条件を一文に詰め込むと、誰が何を受け取れたのかが分かりにくくなるからです。
それと、当時の10万円を、今の何円だと勢いで換算するのは、ここではやめておこう。物価の動きも、どの商品を基準にするかも違う。公式年表の賞品や物資不足の説明を読む方が、少なくとも「現金だけが魅力だったわけではない」というところまで、根拠を持って進めます。
『宝くじ戦争』の公開目次にも、戦後の販売や布の賞品を扱う項目があります。券の条件から、その向こうの暮らしや運営へ関心が広がったときに、読み進めたい場所を探せる本です。ここに挙げた交換条件は、同書を根拠に再現したものではなく、リンクした公式資料で確認しています。
すぐ分かるくじ、鳩で決めるくじ。待ち方まで違っていた
宝くじといえば、買って、抽せん日まで保管して、番号を照合する。そんな流れを想像しやすいよね。
ところが、戦後まもなくは、その流れにもいろいろな形がありました。ここは券の見た目と、当たりが決まる仕組みをセットで眺めると面白いよ。
公式の図柄解説によると、昭和20年12月からのスピード籤は、券の決められた部分を切り取って開封すると番号が現れ、掲示された当せん番号表と比べる形式でした。その場で結果が分かる、即決型のくじです。
なるほど、後日の抽せんを待つばかりじゃなかったんだ。今のスクラッチを連想しても、当時の券について書くなら、開封して番号表と照合する手順まで言った方が、形が伝わります。
次は三角籤。正方形の紙を折り、糊付けして三角形にした、封をしたくじです。公式ページに例として載る昭和23年10月の住宅くじは、その場の結果と後日の抽せんを組み合わせた形式と説明されています。
あ、ここは気をつけたい。「三角の券なら全部、一度開けて終わり」とまでは言えないんだね。形の名前と、抽せんが何段階あるかは、別に確かめる必要があります。
そして昭和22年9月には、鳩くじが登場します。公式年表では、あらかじめ番号を背負わせた鳩を鎌倉から東京へ飛ばし、着順で等級を決める仕組みが説明されています。図柄のページにも、番号の決定に伝書鳩を使ったとあります。
抽せんの話をしていたら、空を飛ぶ鳩が出てきた……!
これは単に鳩の絵がついた券、という意味ではないんだ。名前だけでは仕組みが読めない、いい例だね。公式資料では貿易再開と救国貯蓄運動に関連するくじとして案内され、賞金は貯蓄券で交付されたと説明されています。
年代の違うくじを見比べるなら、三つの欄を作ってみて。「結果をいつ知るか」「何で番号や等級を決めるか」「何を受け取るか」。スピード籤なら開封と番号表、鳩くじなら伝書鳩による決定というように、具体的な仕組みを入れられます。
こうすると、珍しい名前をたくさん覚えるだけで終わらない。今と同じ部分、違う部分が、自分で見つけやすくなるよ。なお、ここで紹介しているのは当時の制度です。今買える券の種類や、現在の当せん条件の案内とは分けて読んでね。
スポーツの名前がついた券も、その三つの欄で整理できます。たとえば公式の図柄解説に載る昭和21年6月からの野球籤は、試合の勝敗と、得点合計の下一桁で当せんを決める形式。売り上げの50%を当せん者に均等に配分するものと説明されています。
一方、同年11月の相撲籤は、大相撲の本場所で毎日三つの取組を対象にしていました。三つそれぞれの勝敗を組み合わせた八つの型から予想し、的中した人について、さらに抽せんで等級を決める仕組みです。
え、予想が当たって、その後にも抽せんがあるんだね。「試合の結果で決まるくじ」と一括りにすると、この違いが抜けてしまいます。野球籤は何を組み合わせて判定したのか、相撲籤は予想の的中後に何があったのか。そこまで書くと、二つの券を混同せずに済むよ。
こうした昔の形式を、現在のスポーツくじや馬券のルールに置き換える必要はありません。当時の解説が指す対象を、そのまま一つずつ見るので十分。スポーツに詳しくなくても、結果の決め方という入口から、券の工夫を比べられます。
『宝くじ戦争』には、公開目次で即決型のくじや三角くじを追える章が確認できます。当時どう売られたのか、形がどう変わったのかが気になったら、その章を足がかりにするのがよさそうです。
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ふくふく籤から自治宝くじへ。本は「知りたい時期」で選ぼう
戦後の宝くじは、政府だけが発売していたの?
最初の政府第1回という名前を見た後だと、そう思いたくなるけれど、地方の復興へ向けた動きもあります。公式の歴史案内では、地方宝くじの第1号は昭和21年12月の福井県復興宝籤。別名が、ふくふく籤です。
その後、政府の宝くじと地方の宝くじが並ぶ時期を経て、昭和29年に政府宝くじが廃止されます。公式年表は、この年の3月に最後の政府宝くじが発売されたこと、12月には全国自治宝くじが発足したことを記載しています。
だから、「政府宝くじがなくなった」を「宝くじそのものがなくなった」と読まない。何が終わって、何が続いたかを分けると、年表の話がちゃんとつながるよ。
ここまで関心が続いたら、本を選ぶときにも、知りたい時期を一つ決めてみよう。勝札が生まれた経緯なのか、戦後の売り方なのか、地方の復興とくじの関係なのか。そこが決まると、目次を見る理由ができるんだ。
『宝くじ戦争』は、大山真人著、洋泉社の新書です。昭和館の書誌では2005年3月刊、221ページ。公開目次には、勝札、戦後の販売、即決型のくじ、福井のくじなどをたどる章が並んでいます。
題名に戦争とあるので、戦時中だけの話かなと思うかもしれない。でも、目次の範囲は戦後の展開にも及びます。反対に、現行のネット購入手順や、今年発売される券の条件を確認したい人には、そのまま現在の案内として使えません。2005年刊という時点を持った本だからね。
楽天で今回確認したのは中古本の掲載です。探すときの目印は、著者名の大山真人とISBNの9784896919028。昭和館では10桁の4896919025で登録されています。古い書籍の表示では桁数が違うこともあるので、書名と著者も併せて照らし合わせよう。
買う前には、版、商品の状態、送料、発送条件を商品ページで見てね。中古なら、同じ題名でも状態の説明は一冊ずつ違う。この記事に載せた在庫や価格を固定の条件として当てにせず、注文時の掲載で決めてください。図書館で目次や気になる章を確かめてから選ぶ方法もあります。
なお、本書の副題には戦後の日本を救ったという表現がありますが、その言い方だけで、宝くじが復興を一手に担ったと結論づけるつもりはありません。公式の年表で確認できる出来事と、本の題名が打ち出す見方は、分けて受け取りたいところです。
読みながらメモするなら、出来事の年月と、その根拠になった資料を一緒に残してみて。本の中で示される資料と公式年表を行き来すれば、あとで疑問が出たときも戻る場所があります。公開目次だけで登場人物の発言や本の結論までは分からないので、そこは実際の本文で確かめる楽しみにしておこう。
最初の疑問に戻ると、7月と10月の違いは、名前と時期を見るとほどけます。そこから布の賞品、開封して結果を見るくじ、地方の復興へと、話が広がっていく。
一枚の券、思っていたより情報が多いね! 古い宝くじを次に見つけたら、賞金の数字の前に、券の名前と発売年月をのぞいてみて。今度は、その一枚がどの時期のものなのか、もう一歩先まで追えるはずだよ。